ダイハツの「ちいさな“軽”高級車」! 「豪華リムジン級」広々“ソファ”!? スライドドア“じゃない”軽スーパーハイトワゴン「タントエクゼ」がスゴかった!
いまや「日本の国民車」ともいえる軽自動車。かつてのようにチープなモデルは少なく、もはや「小さな高級車」といえる質感を持っているクルマも。その草分け的存在が、2009年登場のダイハツ「タント“エクゼ”」でした。どのようなクルマなのでしょうか。
大人4人の深いくつろぎが実現した軽自動車
販売価格が200万円を超える軽自動車も珍しくなくなり、見た目にもラグジュアリーな軽自動車が増えてきました。
しかしながら内装の質感に目を向けると、3ナンバーの高級モデルのようにはいかないことも。
そんな中で、大人が4名しっかりとくつろげる軽自動車がかつて存在していました。

2009年に登場した「タントエグゼ」は、2代目の軽スーパーハイトワゴン「タント」をベースに開発された、「大人へ向けたタント」です。
子育て世代を中心に高い人気を集めていたタントに対して、タントエグゼは子育ての終わった夫婦や、新婚・未婚のユーザーをターゲットにしたラグジュアリー軽自動車でした。
タントの派生モデルながら、ドアは4枚すべてがヒンジドア。Aピラーはタントよりも寝かせてあり、箱のイメージから脱却しています。
ボディカラーは全8色が用意され、高級の象徴とも言える金色、「シルキーゴールドマイカメタリック」も用意されました。
そしてタントエグゼの最大の特徴は、大人がくつろげる余裕の室内です。
コンパクトなエンジンルームやタイヤの四隅配置で、ホイールベースを2490mmも確保し、ゆとりある室内長を実現しました。
さらに前後席の最適配置により、前後乗員間距離は1065mmにもなります。床面を低くすることにより、室内高を1385mm確保しながら、後席のヒップポイントを710mmへ設定し、見晴らしの良さと座り心地の良さを両立しました。
シートはグラマラスコンフォートシートと名付けられ、座面とシートバックのサイド部にボリュームを持たせた立体的なデザインです。
ホールド性を向上しつつ、シートクッションに十分な厚みと心地よい柔らかさを持たせることで、体を包み込むような、ゆったりとした座り心地を実現しました。
さらに後席シートには、ひざ下からふくらはぎ部分にも、張りのあるふくらみを持たせたことで、着座姿勢がさらに楽に。
後席リラックスアイテムの象徴でもあるオットマンこそありませんが、このふくらみは常にオットマン付きのシートに座っているような心地よさを作り出します。
左右分割式のリクライニング機構や255mmのロングスライド機構、センターアームレストはもちろん装備。タントエグゼは、前席シートよりも後席に長く乗っていたいと思わせる、いわば「小さな高級車」なのです。
そんな小さな高級車は、室内装備以外にも気を使っています。
ヒンジドアは90度開きドアを採用し、ドア開口部は幅750mm、高さ1220mmの大きさです。
比較的高めに設定された後席のヒップポイントと相まって、自然な姿勢で楽な乗り降りが可能で、大きな荷物の出し入れなどもスムーズに行うことができます。
ソファのようなシートにフラットなフロア、曲面が美しく包まれるようなインテリアで上級ミニバンのような空間を楽しむことができるタントエグゼ。小さなボディからは想像できない高級感に驚かされます。
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昭和の頃、後席の快適性が重要視されるファミリーカーの定番ポジションは「セダン」でした。これがいつの間にかSUVやミニバンに代わられています。
セダンもワゴンも軽自動車も、もっと後席の快適性を高めることで、ファミリーユーザーが戻って来てくれるはずです。
後席重視の軽スーパーハイトワゴンは、今後ますます要注目のカテゴリーと予想されます。
シートの形状や作り込みだけで上質な座り心地を作り上げたタントエグゼは、日本車の歴史に残る小さな高級車のパイオニアといえるでしょう。
Writer: 赤羽馬
金融業・自動車ディーラー営業マンを経て、ライターとして独立。幼少期からの自動車カタログ収集癖あり。エンドユーザーに役立つ話や経済・金融とクルマに関する情報を発信中。
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