スズキの「“斬新”6人乗り高級ミニバン」が凄かった! 精悍「細目ライト」×超豪華「ホワイトレザーシート」搭載! 「めちゃ広ッ」空間&“コダワリ”強かった「PX」コンセプトとは
とかく「ファミリーカー」のイメージが強いミニバン。しかし2005年の東京モーターショーには、「オトコのこだわりのプライベート空間」を掲げたミニバンのコンセプトカーが展示されました。
ギラギラスタイリッシュで「プライベート空間」を創出
各メーカーが販売するミニバンには、お気に入りの使い勝手がよい道具のようなシンプルな仕様もあれば、スタイリッシュなエアロパーツや存在感のあるイカついマスクを持つグレードなどもあり、老若男女に愛されています。
しかし、ミニバンといえばやはり現代における「ファミリーカー」の代名詞ともいえる存在。男性向けの外観やイメージを持つモデルはありつつも、基本は実用本位であり、男性オーナーのプライベート空間に特化したミニバンはあまりないのではないでしょうか。

ところが今から20年も前、2005年に開催された「第39回東京モーターショー」にスズキが出品した「P.X」は、ズバリ「オトコのこだわりのプライベート空間」というコンセプトを掲げて開発されました。
ルーフを含め、全体的に丸いボディはソリッドな印象。2段式の灯火類、大型グリルを備えたフロントは迫力あるイメージを持つ一方、サイドウィンドウの意匠を繰り返したようなテールライト、逆台形のリアウィンドウなど、リアビューは個性的にまとめています。
ボディサイドには、強度を増すように見える視覚的効果を持つリブが走り、20インチの大径ホイールを覆う前後フェンダーは、昭和のクルマのようなビス留め風のディティールが施されています。
写真では大きく見えますが、第39回東京モーターショーでは「小さなクルマ、大きな未来」というテーマを展開したスズキだけに、全長4420mm×全幅1800mm×全高1780mmというサイズで、幅は広いもののトヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」に近い大きさです。
しかしホイールベースは3000mmもあるため、切り詰められた前後オーバーハングも相まって、4つのタイヤが車体端部で踏ん張っているようなイメージを持ちます。
フロントドアとリアのうち、前側ドアが外開き、後ろ側リアドアがスライド式の「片側3枚ドア」という奇抜なドアによって広い開口部が確保されており、長いホイールベースの恩恵を受けた広い車内へのアクセスも容易です。
インテリアはホワイトとブルーのライトを基調に、本革のシート、各部に金属パーツを配してクールかつ上質・ラグジュアリーな雰囲気で統一。
ダッシュボードはシボレー「コルベット」(2代目)のような、左右で同じ円弧を描く特徴的なデザインで、運転席と助手席の間は高いセンターコンソールで仕切られており、コンソール上にはスイッチ類やシフトノブ、大画面液晶のオーディオ操作パネルなどを配置しています。
ターゲットは自分のライフスタイルを重視する男性、とされたP.Xですが、車内は3列シートの6人乗りとなっており、家族や友人との時間を楽しむことも可能です。
しかしP.Xは単なる3列6人乗りミニバンではありません。
2列目は1列目(運転席・助手席)の背面に一体化するように畳むと、大型アームレストを装備した「ラウンジシート」の3列目足元には、VIP向けリムジン以上に広い空間が出現。
しかもシートはレカロ製ですので、座り心地も良さそう。15インチワイドモニターと大型スピーカーも搭載しており、ラウンジシートに座って映画や音楽の鑑賞も楽しめるでしょう。
これまでにないミニバンとして提案されたP.Xは、発表後20年が経った今なお新鮮で斬新な印象があります。
アイデア豊かなスズキだけに、市販車・コンセプトカーを含め、今後もP.Xのような斬新なモデルを生み出してくれるに違いありません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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