近年、狭い道路でも運転しやすく、家族や荷物をしっかり運べる実用性が評価され、コンパクトミニバンが多くの支持を集めています。

　しかし、実は1980年代から1990年代にかけて、スバルがコンパクトミニバンの先駆けともいえるユニークな車を世に送り出していたことをご存知でしょうか。

　その現代のコンパクトミニバンと共通する便利なパッケージに、ネット上では多くの反響が集まっています。

　そのモデルとは「ドミンゴ」です。

　同車は、1983年に登場したスバルのコンパクトミニバンで、軽ワンボックスカー「サンバー トライ」をベースに開発されました。

　また、コンパクトなボディながら最大7人乗りが可能な点が特徴です。

　1994年には2代目モデルが登場し、快適装備の充実やキャンピング仕様の「アラジン」など、多彩なバリエーションが展開されました。

　しかし、1998年に生産が終了し、後継モデルが登場することはありませんでした。

　ドミンゴのボディサイズは、初代4WDモデルで全長3425mm×全幅1430mm×全高1900mmと、現代の軽自動車に近いコンパクトさでした。

　2代目では全長3525mm×全幅1415mm×全高1995mmと車高を高くし、室内空間をさらに広く確保しています。

　この小さなボディに3列シートを備え、7人乗りを可能にした点は、当時としては非常に先進的でした。

　都市部の狭い道路でも扱いやすく、家族でのお出かけやアウトドアにも対応できる実用性が魅力でした。

　外観は、角ばったヘッドランプや大型バンパーが特徴的で、シンプルながらも愛嬌のあるデザイン。

　ボディカラーは白を基調に、緑、青、赤など多彩なラインナップが揃い、個性を際立たせていました。

　特に2代目のキャンピング仕様「アラジン」は、ポップアップルーフを採用し、大人1人と子ども1人が就寝できるスペースを確保。

　アウトドアを楽しむユーザーから高い支持を受けました。

　内装は実用性を重視したシンプルな設計ですが、シートアレンジの自由度が際立っていました。

　運転席と助手席を180度回転させて後席と対面させたり、2列目シートを折り畳んで広大な荷室を作ったりと、シーンに応じた柔軟な使い方が可能でした。

　この点は、現代のミニバンにも通じる使い勝手の良さです。

　ドミンゴには、1リッターまたは1.2リッターの直列3気筒OHCエンジンが搭載され、1.2リッターモデルの「ドミンゴ GV-R」では最高出力61ps、最大トルク9.8kgfmを発揮しました。

　駆動方式は後輪駆動（RR）またはフルタイム4WDで、5速MTまたはCVTが選べました。コンパクトなボディながら、スバルらしい安定感のある走行性能を実現していました。

　新車価格はグレードや装備により異なり、1996年モデルでは141万9000円から222万5000円でした。

　一方、旧モデルの「ドミンゴ CF」は100万円以下で購入可能な手頃さも魅力で、ファミリー層にとって手の届きやすい選択肢でした。

　そんなドミンゴに対して、懐かしい思い出や再評価の声が広がっています。

　多くのユーザーが、コンパクトなのに7人乗りが可能な設計や、シートアレンジの自由度の高さを称賛しています。

　特にキャンピング仕様の「アラジン」はキャンプ愛好家にとって理想的な一台だったようで、「大人も余裕で寝られるルーフは最高だった」「今の時代にこんなクルマがあったら絶対買う」といった声が聞かれます。

　一方で、「近所に最終型ドミンゴがいるんだけど、クラシックかつ独特の個性を放っていた」「デザインが可愛くて愛着があった」「スバルの個性的なクルマ作り、復活してほしい」と、ドミンゴのユニークな魅力に再び光が当たっている様子が伺えます。

　こうした声からも、ドミンゴが現代でも通用するコンセプトを持っていたことがわかります。