車の「透明フィルム」 “規制”強化で車検に通らない可能性も? 初夏の強い“紫外線”から守る「フィルム」… スモークではないのになぜ「NG」に? 知っておきたい基準とは

紫外線が強いこの時期、ウインドウに貼るUVカットフィルムはスグレモノですが、実は車検に通らないこともあるようです。どういうことなのでしょうか。

劣化すると「透過率」70%未満に

 6月から8月は、1年のうちでも紫外線が強いといわれる季節です。クルマに乗っていても日焼けすることもあります。
 
 そこで頼りになるカー用品のひとつがウインドウに貼る「UVカットフィルム」です。

 フィルムを貼ると紫外線(ultravioletの略/紫外線)を遮断してくれるというスグレモノですが、実はほぼ透明なはずなのに、車検に通らないケースがあるようです。どういうことなのでしょうか。

フロントガラスのフィルムのイメージ(写真:PIXTA)
フロントガラスのフィルムのイメージ(写真:PIXTA)

 紫外線の強さは、季節や時間帯、天候などによって大きく変化します。仮に気象条件が同じである場合、太陽が頭上にくるほど強い紫外線が届きやすくなります。

 1日のなかでは正午ごろ、また日本では日が長くなる6月から8月にかけてが、もっとも紫外線が強くなります。

 そのため、これからの季節はクルマを運転するだけでも日焼けをしてしまうことがあります。

 こうした日焼けから皮膚やクルマの車内の劣化を抑制してくれるのがUVカットフィルム、というわけです。

 カー用品店などでも一般的に市販されているため、UVカット機能付きガラスを採用していないクルマにも、後付けすることができます。

 ただしウインドウに貼るフィルムは「可視光線透過率」に注意が必要です。

 可視光線透過率とは、人間が見える光(可視光線)をガラスやフィルムがどれだけ通すのかを示す値であり、一般的には「透過率」と呼ばれています。

 この透過率、たとえばスモークフィルムの色の濃さを判断するときに用いられるのですが、透明であることが多いUVカットフィルムでも、透過率を定期的に確認したほうがよいのです。

 なぜならば、UVカットフィルムは使用していくうちに徐々に経年劣化を起こすからです。

 リアガラス(厳密には運転席・助手席よりも後席)には透過率の規定はありませんが、フロントガラスおよび運転席・助手席のガラスの透過率に関しては70%以上と厳しく定められています。

 国土交通省の「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の「第195条(窓ガラス)」に関する透過率の記述は、以下の通りです。

「自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車及び被牽引自動車を除く。)の前面ガラス等のうち前面ガラス及び側面ガラスのひずみ、可視光線の透過率等に関し、保安基準第29条第3項の告示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。

 一 透明で、運転者の視野を妨げるようなひずみのないものであること。

 二 運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70%以上のものであること」

 さらに2023年1月には、国土交通省より以下の内容が通知されました。

「当該事業場において可視光線透過率測定器を用いて判定する場合は、道路運送車両の保安基準第 29条第3項に規定された要件を満たすものを用いること」

 これまで定まっていなかった「測定器」に関する通知ですが、車検場それぞれが使っている測定器で、透過率の数値にバラつきがあったことから、これを統一化して規制を強める動きになったのです。

 ちなみに、メーカーにより差異はありますが、多くの新車のウインドウは透過率が70%程度が多く、ここにスモークフィルムを貼ればほぼ必然的に透過率70%以下になります。フィルムをきれいに除去しない限り、車検はクリアできません。

 さらに新品の状態ではパッと見でほぼ透明に見えるUVカットフィルムも、日々紫外線を浴び続けることで少しずつ着色(変色)していきます。

 じわじわと気が付かないうちに劣化が進んでくるため、ディーラーや整備工場に車検で入庫した際、「運転席・助手席のガラス(フロントガラスにも貼っていた場合はそちらも含めて)の透過率が70%未満」であることを伝えられ、驚くこととなるのです。

 やはりスモークフィルム同様に、劣化したフィルムを剥がして元の状態に戻さない限り、車検をクリアできません。

 素人でもフィルムを剥がすことはできますが、問題はベッタリとガラスに残った糊の除去です。

 筆者(松村透)自身、かつてウインドウフィルムを施工する仕事をしていた時期があるのですが、もともと貼ってあったフィルムを剥がし、きれいに糊を取り除く作業にはずいぶんと手間取った記憶があります。

 フィルムを貼り替える場合、糊が少しでも残っていると新しいフィルムを貼った際の異物混入となってしまうので(しかも目立ちます)、ひたすら地味な作業を繰り返したことを覚えています。

 使用環境や駐車場の立地にもよりますが、一般的にUVカットフィルムの寿命は3〜5年程度と言われています。

 ディーラーや整備工場に入庫した際「だいぶUVカットフィルムが劣化していますね」と指摘されたら、早めにプロの作業で貼り替えることをおすすめします。

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Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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3件のコメント

  1. くるまのニュース様へ
    サイドウインドウに吸着バンで簡単に取り付けられるサンバイザ-を運転中にフロント両サイドウインド-に貼り付けけ走ってる方が、多く見えます。特にお顔の悪い女性に多いようですが、いくら外が見えようが、あれ完全に整備不良で取り締まり対象だという事、なぜ危険で違反なのかを、もっと記事にしてください。非常に危ないですよ

  2. 規制強化でも何でも無い。安物フィルム貼るからそうなる。ソフト99のウィンドウプロテクションフィルム位施工して貰えば問題ない。

  3. ライターさんは本当に理解して書いて居るのかしら?イメージ写真はあくまでイメージで参考値だが、フロントウィンドウの外部からフィルムを貼付する写真を平気で出して来る考えが理解できません。

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