なぜ今「セダンタイプ」が不人気に? かつては「クルマの定番形」が今では「ほぼ壊滅」状態に… ただし「セダンならでは」のメリットも存在
クルマの基本形は当初「セダン」が一般的でした。しかし、今ではミニバンやSUVに取って代わられています。なぜセダンは廃れてしまったのでしょうか。
かつて定番だったのに… なぜ「セダン」廃れたのか
以前はクルマの基本的なスタイルと言えば「セダン」でした。しかし、近年はSUVが人気の中心に変化し、セダンは各自動車メーカーからもラインナップを減らしてしまいました。
なぜクルマの基本形が大きく縮小してしまうほど、セダンは不人気となってしまったのでしょうか。

セダンが不人気になった理由は、シンプルに「室内空間が狭く、利便性に欠けるから」です。
ルーフが低くなるセダンのボディ形状は、SUVやミニバンに比べてリアシートの室内空間とラゲッジスペースを広く確保するのが難しくなります。
実際のところは「セダンが不人気になった」というよりは、室内空間が広く採れる「ミニバンやSUVが人気になった」と表現するのが正しいでしょう。
1990年代前半くらいまでは、ミニバンのようにスライドドアを有するクルマは「商用バン」といったイメージが強く、仕事で使う営業車のようなイメージが強かったのです。
しかし、乗用車的な内外装を持つバンはアメリカなどを中心に1980年代半ばころから登場し、日本車でもそのようなモデルが徐々に登場し始めました。
1990年代に入るとトヨタ「エスティマ」や日産「エルグランド」など、高級感や洗練されたイメージを売りにするミニバンも登場し、乗用車としてミニバンに乗ることが一般的に受け入れられるようになります。
そして、トヨタ「アルファード」がアジア地域を中心に、グローバルでVIPを乗せるショーファーカーとして人気を獲得し、より上質な乗り味と質感を持つレクサス「LM」を誕生させることとなるのです。
このように、ミニバンは商用的なイメージから乗用車、そしてショーファーカーと、それまでセダンが担っていたフィールドに徐々に進出し、その座を奪っていったのです。
これはSUVにも同じことがいえます。SUVという言葉が生まれる前は、地上高が高くテールゲートを持つ5ドアタイプのモデルは「クロカン」や「RV車」と呼ばれており、基本的に悪路走破性を重視したものでした。
しかし、1990年代頃から乗用車らしさをミックス(クロスオーバー)させた「クロスオーバーSUV」といった言葉が登場し、オンロードでの走行性能や快適性を重視したSUVが登場するようになります。
特に決定的だったのは初代レクサス「RX」(日本名:トヨタ「ハリアー」)の登場で、サルーンのようにオンロードでも快適性を実現したSUVが高級ブランドでヒットしたことにより、世界の高級ブランドはSUVが売れることに気づき、以降こぞって都市型のSUVが増えていくことになったのです。
もちろん、ミニバンやSUVにはないセダン独自の魅力もあります。
それは高いボディ剛性から来る質感の高い走り、低い重心だからこそ実現できる高い走行安定性、そして3ボックス形状ならではの静粛性の高さです。
ミニバンやSUVが台頭してきても、これらのボディ形状が与える基本性能の高さが評価され、セダンはミドルサイズ以上の上位モデルを中心に現在も残っています。
ただし技術の進歩からか、ミニバンやSUVでもセダンが持っていた性能はユーザーたちが思う「及第点」をクリアできるようになったといえます。ミニバンスタイルのショーファーカーが登場するようになったのが、まさにその証拠です。
ミニバンやSUVに比べて室内空間が狭いこと、そして技術の進歩でミニバンやSUVの各種性能が上がったこと、これらがセダンが不人気になった理由です。
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